電子書籍であっても分冊販売する出版社
Kindleの日本語書籍で、紙書籍版と同じく上・中・下に分冊して売っているものがある。
電子書籍の意味がない。
紙では物理的に1冊に出来ないのであれば仕方ないが、電子書籍ではその心配をする必要がない。
だいたい1冊の本を分冊してしまうのは日本ぐらい。
映画化された『ハンガー・ゲーム』の日本語文庫版は上・下巻に分冊されている。
この文庫版に対応したKindle版が存在する。
だがハードカバー版に対応したKindle版は存在しない。
これは分冊することによって、多くの利益を上げようとする出版社側の思惑が読み取れる。
紙の文庫版の分冊は、物理的な制限から行なうことがあっても電子書籍にはその必要はない。
分冊の例としては村上春樹さんの『1Q84』が面白い。
村上春樹さんの『1Q84』は日本語ハードカバー3冊は英語翻訳版では1冊にしている。
日本語文庫版ではさらに6冊に分冊している。
分冊された文庫版をすべて買うとハードカバー版を買うのとあまり変わらない価格になる。
これでは出版社は金儲けしか考えていないように見える。
中身の薄い新書ばかりが出回り、知的欲求に耐えうる上に、コストパフォーマンスの良い書籍の出版を確立しようとまったくしていない。
読者が減った理由は、こうした読者の利便性を一切考慮しない出版社側の態度が問題の多くをしめている。
新潮社の公式サイトでは文庫版の6冊分冊が読者のためになるような書き方をしているが、それは読者の視点で本当に望まれていることなのか。
いよいよ文庫化《全6冊》3ヵ月連続刊行! 村上春樹の最新作『1Q84』の新潮社公式サイト。
村上春樹『1Q84』 新潮社公式サイト