村上隆さんに聞く 世界のトップを取る

 ――2月のカタールでの個展に向け、東日本大震災後の日本をテーマに、全長100メートルの「五百羅漢図」を制作中だそうですね。

 「日本の歴史をみても、地震や飢饉(ききん)、天災が多発したときには、人々が救いを求めて宗教が勃興したり、新たな文化・芸術が生まれたりしてきました。五百羅漢への信仰もそうした苦難のたびに広まり、供養や癒やしとして絵や像がつくられてきた。そうやって先人が危機に際して処してきたことを学んで、自分も五百羅漢図を描いてみようと思い立ちました。いわば温故知新です」

 「縦3メートル、横1メートルのキャンバスに描いて、それを100枚つなげて作品にします。約100人のスタッフに指示を出しながら制作しています。カタール政府が日本との国交樹立40周年の記念イベントとして首都ドーハで僕の大規模な個展を2月9日から開催してくれるので、そこに展示します。観光立国を目指すカタールには、世界中から人が集まる。3・11のメモリアルな作品として、一人でも多くの人に見てほしい」
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朝日新聞デジタル:村上隆さんに聞く 世界のトップを取る