脱原発を訴え、決意の来日も客席はガラガラ……フランス人監督の切なる願いとは?

だが、監督の熱意とは裏腹に、日本での現実は厳しかった。脱原発を声高に訴えたことで、楽しみにしていた取材は直前にキャンセルになり、舞台あいさつでも客席は半分以上空席だった。我々がインタビューしたこの日、見るからに落胆していた監督は、自ら「わたしがこれから話すことは、ぜひすべて載せて欲しい」と願い出た。

「わたしは、日本の皆さんを支援するために、フランスからやって来ました。もちろん、自分の映画のためというのもありますが、今回、監督でフランス映画祭に来ようとした人たちは、とても少なかったはずです。でもわたしは原発のことをきちんと語っている自分の映画を持ってきました。日本の血が流れている12歳の少女が、いまから20年前に、地球の全人類に向けてSOSを投げかけた、歴史に残る素晴らしいスピーチをもとに作られた映画です。現在31歳になった今でも環境問題に取り組み続けている彼女は、映画の中で、原発問題を“悪魔との契約”と言いました。日本でも大規模なデモがありました。わたしも撮影に行き、多くのエコロジーを訴えている市民と出会いました。あの日、わたしと励ましあった彼らは、わたしの映画が今日から公開されることも知っているはずです。でもなぜ、今日、私の映画の客席は空っぽなんでしょう。昨日の上映会場も、今日の上映会場も、半分以上が閑散とした空席状態なのでしょうか。6 月11日に出会った多くの脱原発を求める市民は、いったいどこにいるのでしょう? ほんとうに残念です」
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