南京事件描いた映画、中国で公開…「日本兵の苦悩」で賛否

抗日戦争を題材にした従来の中国映画は、旧日本軍の残虐さを強調することに主眼が置かれているが、同作品は暴行シーンに加え、終幕で中国人捕虜を逃がし、自殺する日本人兵士が描かれている。陸監督は中国紙に対し、「日本人も悪魔ではなく人。彼は戦争に対する我々人類の反省を代表している」と狙いを語った。

メディアやインターネットには「日本人を美化している」との反発が目立つが、「民族感情からだけでなく、広い視野に立って戦争を見ることができるようになった証し」(広東紙)などと肯定的に評価する声もある。上海市内の映画館で見終えたばかりの袁雷波さん(22)ら大学4年生5人は、「人間としての日本人兵士の苦悩は理解できる。歴史は忘れてはならないが、今の日本人に対する悪感情にはつながらない」と口をそろえた。

張連紅・南京大虐殺研究センター主任は「中国ではこれまで被害者の角度から日本の残虐行為を強調してきたが、そこから抜け出し、加害者、被害者が一緒になって戦争を考えるきっかけになることを期待したい」と評価している。
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