創造力は想像力:アニメーション評論のすそ野を広げたい : 山村浩二

国際的な受賞は60以上、回顧上映も30カ国に達している。昨年10月のブラチスラバ・アニメーション・ビエンナーレスロバキア)では日本人として初の特別賞を受賞し、作品上映やパネル展示のほか、記念講演も行われた。研究者、批評家としても、海外のアニメーション映画祭の審査員に12回も招かれている。3回は審査委員長だ。

「作家を目指す人は自分で勉強するでしょうが伸び悩む人も多い。自分の制作に影響が出るかもしれないと躊躇(ちゅうちょ)しましたがきちんとした教育機関で若者を育てたいとも思った」

山村さんは教授を引き受けた理由をこう説明する。アニメーション専攻の学生は16人。1年生の後半からはゼミ形式となる。2年間で修了作品をつくるのが目標だが、演出などの実技指導に加え、歴史や各国の作家など世界の事情も教える。「評論のすそ野を広げたい」という思いがあるからだ。

制作面では、キャラクター主体の「マンガアニメ」を含むアニメーションの各分野で、日本人が世界的な活躍をしている。

だが、表現豊かな広義のアニメーションの状況を理解し、歴史と作品を語れる人は意外と少ない。アニメ評論といえば「萌(も)え」や「オタク」文化などの社会現象かキャラクター論になりがちだ。山村さんがこだわる短編アニメーションの世界になると、ほとんどいない。大学院の専攻案内には「アニメーションをとらえ直す批評的営為が、日本だけでなく世界的に必要」と書かれていた。
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